1人で悩む、20~30代の医療職の方へ!

周りよりも頑張る人こそ受けている大きいストレス・悩みに少しでも役に立てる情報を発信

やりがいのある【医療職】を【疲弊】せずに続けるための【ストレスケア】とは?①

前回、医療職が「感情労働」を酷使しているという事を書かせて頂きましたが、その辛い仕事の中にも「やりがい」を感じ、それを続けることにより「自分はこの仕事を続けていくんだ」という信念が強まったり、更に笑顔や賞賛を頂けるように「レベルアップしなきゃ!」と自己研鑽する方も多いと思います。仕事中に起こる出来事が全て良い事じゃなかったとしても、悪い事が少なければ心が疲弊する事は少ないのではないかと思います。

今日は疲弊せずにやりがいのある仕事を続けるためにも「感情労働」というものを掘り下げてお伝えし、感情労働」が心にもたらす良い影響(自分の疲弊する心を満たすパワー)をできるだけ分かりやすく説明できれば良いなと思います。

・【感情規則、感情管理について】

アメリカの社会学者であるホックシールドが「感情労働」について、さらに「感情規則」と「感情管理」という二点に分けられるとしています。

仕事中に自分が「自然に感じる」感情とは別に、その職務にふさわしい感情(感情規則)が職場のマニュアルなどで定められているとし、この「感情規則」にそって自分の感情をコントロールする事が「感情管理」とされています。なので「感情規則」が病院・事業所の理念や自分の資格(Ns、PT、OT、ST)を取る際に習った専門職としての心構えみたいなものを指していて、「感情管理」はその心構えにそって自分の心を管理しながら看護やリハビリを提供するという理解で良いと思います。確かに「プライベートの自分」そのままの心構えで患者さんや利用者さんに接する事はありませんよね。

では、無意識にしてもどのような方法で感情をコントロールするのでしょうか?

・【表層演技、深層演技】

「表層演技」とは本来の自分自身の感情とは異なっても、表面上は「感情規則」にそってボディランゲージや作り笑いなどを使い、自分の外見を変えようとする方法です。

言い方は良くないですが、相手のタイプに合わせ自分とのやり取りを心地よく感じてもらえるように「演技」するという感じです(仕事の一環として割り切って)。

「深層演技」とは表面的にそうしたふりをするのではなく、心からそう思うように自分の心に働きかけ、本来の自分の感情を変えていく方法です。

例えば「辛い時でも笑うのは、リハビリを提供する自分が笑っていなければ仕方がないだろうと思い、自分に言い聞かせる」という感じです。

まったくこの方法を使わず「素の自分」として関わっているという方もいらっしゃると思いますが、どちらかの方法を無意識に選択して行動している方が多いのではないでしょうか?

・【感情労働が心にもたらす良い影響】

感情労働が心にもたらす良い影響は5つあるといわれています。 

①「笑顔」

これは全員一致ではないでしょうか。対人サービスならではの特徴です。

相手から直に喜びや感謝の笑顔を返された時、最初は「演技」で対応していたとしても心に喜びや嬉しさなど、肯定的な感情が沸き起こる事があります。

前回の記事で書いたように

「ありがとう」、「あなたが担当してくれて良かったわ」、「またお願いします」と笑顔で言われた時の、嬉しさや満足感は何とも言えないですよね!!

②「担当する仕事において自律性・主体性を発揮できること、自分の判断で進められること」

担当する仕事において自律性・主体性を発揮出来たり、自分の判断で進められる事は仕事の満足度に影響を与え、仕事へのモチベーションを支える基本的要素となる事が報告されています。これは組織が管理する割合の方が大きい印象を受けますが、いわゆる仕事の「丸投げ」のように全ての裁量が個人に委ねられるとかえって本人の負担を増加させる事になりますので、「一定」の裁量という認識になります。

自律性のない職場では仮にその仕事をやり遂げたとしても、充実感よりも押し付けられたという徒労感が残る場合も少なくないそうです。又、仕事の進め方に裁量の余地が少なく過重な負担が存在する職場では、バーンアウトとともに他のストレス性疾患が発症するリスクも急速に高まるといわれています。

「マニュアル以外のサービスが禁じられており、患者さんや利用者さんが快適になるようにプラスアルファの対応をしたいと思っていてもできない」、「自分の担当するケースにおいて、自分が考える看護計画・リハビリの目標設定よりも上司の経験や意見が優先される」等、個人の感情と取り決められたルールとの間で葛藤しストレスを感じる事も多くありませんか?

③「評価」

「笑顔」と近いものがありますが、自分の関わりが相手に満足感・信頼感などをもたらし、その反応としてねぎらいや感謝の言葉・賞賛などという肯定的な「評価」を受けるとき、自分の心は達成感・充実感に満たされ、職務満足を得る事になります。さらなるサービス向上を目指そうとする動機付けにも繋がっていきます。

「担当していた患者さんが退院後に自分への宛名でお礼状や品物を送って下さった時は何か嬉しい気持ちになりますよね。しっかりとやってきて良かった!と」。

④「自己承認」

相手からの否定的な反応がある一方で、笑顔や賞賛などの肯定的反応が癒しや励みとなり、精神的な均衡を保つことがあります。日々看護やリハビリを行っていく中で、この両面を経験しますが、これらの経験の積み重ねや自分の考え・言動について見つめる過程を通して、医療職ならではの醍醐味を実感し、感情労働を伴う仕事に従事している自分自身を承認していくことがあります。又、感情労働を受容し患者さん・利用者さんに積極的に接近する事により相手が満足し、その結果として感謝や高い評価を受け、喜び・自己承認が得られるともいわれています。

⑤「有能感」

感情労働を伴う仕事を通して、相手に喜びや満足感を与えることができ、その半面、大変な状況の中からも自分の能力が開発され、自己の成長を実感できるとき、有能感を味わい、職務へのやりがいや満足感が増大するといわれています。感情労働の有意味を実感し、ひとつ抜き出た感覚で仕事そのものを楽しみ、醍醐味を味わい、相手の人生をより豊かなものにしようとします。

以上の5つが感情労働が心にもたらす良い影響とされています。

個人の動き方でどうにかできそうな点もあれば、組織レベルで改善しなければならない点も含まれていますよね。

これは私の経験ですが、「何かいつもよりやる気が出ないな」、「いつもは笑っていられるのに何か笑えないな」など、普段よりも落ち込む度合いが大きく感じた時に、この5つの傾向はどうかなと振り返ると、客観的に自分を見る事ができ、少し心が軽くなります

・【まとめ】

今日は感情労働が心に及ぼす良い影響を説明させて頂きました。また次回、悪い影響を及ぼす面に関して発信していきますが、疲弊しないためには良い面がどんどん入り、悪い面を極力軽減させるようにしていく事が大事だと私は思います。

これも自論ですが、「笑顔」や「評価」が心のパワーとなり「自己承認」や「有能感」を得ようと自ら動き出します。自分が担当する仕事で自律性や主体性を発揮しようとする機会を減らしたり、自分で判断しようとする機会を奪うのも多くは先輩が関わっているのではないでしょうか?

担当する個人が考え抜いて出した結果や行動なら失敗しても良いから、それを尊重するべきだと私は思います。失敗する事で得られる事も多くありますから。結局意見を押し付けられても、やりがいを実感できませんよね。なので

・しっかりと考え抜いた結果であれば自信を持って発言してください

・先輩の経験に基づいた勘が全て正解な事はありません

・誰よりも患者さんや利用者さんの事を考えているのはあなたです

スタッフの管理業務に携わる方々が、組織やスタッフのマネジメント方法を学んでくれれば、先端の現場で働くスタッフも楽になりますよね。次回は感情労働が心にもたらせる悪い影響を発信していきます。両面が分かれば客観的に自分を見る事ができ、ストレスも減らせられるのではないかと思います!!

前回の記事と合わせて書いた「感情労働」について詳しく書いてあります。今後医療職の中でもキーワードになってくると思います!

最後まで読んで下さりありがとうございます。少しでも何かのお役に立てれば嬉しいです。

 

お問いあわせ

<